京都珈琲案内

京都のとあるバンドマンがお送りする、
京都を中心とした珈琲店、喫茶店、及びカフェの記録及び紹介。
自宅で自家焙煎(unionサンプルロースター)をしたり、
ネルドリップやエスプレッソマシン(LA MARZOCCO Linea mini)をいじったりしています。
また、自宅をカフェのように改造して遊んだりもしています。

【閑話休題の楽曲視聴はこちら】
https://youtu.be/vsB0nOVW_JE



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カテゴリ: 珈琲抽出

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珈琲の味を分析し、多くの人にある程度理解されるような平易なレベルまでに落とし込み、それを表して人に伝えるというのは、非常に難しいことです。


それは、珈琲の味わいの表現はどうしても主観的であって、かつ抽象的、複雑、不明瞭な概念があまりに多すぎる(例えばよく使われる表現なら、私はコク=甘苦みを強く感じる、ボディ=甘苦みが残る、キレ=最後に酸味を強く感じてからすっと消える、みたいに、諸々自分の中で定義していますが、これって多分人によって意外と異なるか、なんとなく使われていることもあるので、周りとの共通理解が難しいものです。あと最近諸々のブームでカタカナ言葉系の誰がわかるねん的表現や詩的表現も増えてきています。かくいう私もできるだけ避けたいと思いつつも時折使ってしもうているのが現状です)こと、味の差異が出る要素が抽出由来、焙煎由来、産地由来などさまざまありますが、共通理解が図れるように要素を必要十分押さえるというのが非常に難しいこと(要するに、表し手が要素を一つ押さえると、読み手聞き手にとっては、それ以外に押さえておきたい情報がけっこう出てくるにもかかわらず、表し手が自分の感じるままで表しているゆえ、読み手聞き手にとっては不充分に感じることが多いこと)などが理由として挙げられます。珈琲の味の感想を見て、なんかそれらしいことを言っているけど結局何を言っているのかよくわからんと思った場合は、たいていそれです(自分への戒め)。


一方で、珈琲は大衆的な飲み物であるし、ワンコイン前後の美学みたいなところもあるから、気軽に楽しめる要素は欲しいところです。また、不完全かもしれないけれども、消費者自身がざっくりながらも珈琲の味の違いをきちんとかつ平易なレベルで比較理解し、かつ一定レベルで周りと共通理解していくことは多少なりとも必要なのではないかとは思います。自分自身よりよく珈琲を楽しむためと、今後ますますカオスになっていく珈琲業界に消費者全体がついていけなくなってしまうことを防ぐために。その珈琲の味が(他と比べて)どんな立ち位置なのかっていう観点はお店側の話というよりはどちらかというと消費者側の話のような気はしますしね。まぁ消費者を置いてけぼりにしないために混乱させないためにお店側がやるべきこと伝えるべきことは、みたいな議論も発生するはするのだけれどもそれは割愛。


じゃあ消費者はどうすればいいのか、って話。これにはまだしっくりした正解が見つかりません。


取り急ぎ言えるのが、何度も言う通り、珈琲の味の影響は「抽出法>焙煎度>産地」。ペーパードリップとネルドリップとエスプレッソを一括りに理解することは不可で、個々に独立して考える必要があります。次に焙煎度。深いか浅いかはさすがに素人でもわかります。そして絶対に押さえるべきは「珈琲豆は基本的にどの産地でも浅いと酸っぱく(フルーツ的な甘みも感じられる場合がある)、焙煎が深く進むにつれて酸味が消えて苦甘さに変わっていく」という事実。抽出法と焙煎度の情報は必須です。産地の情報はあるに越したことないですが、産地はかなり判別が難しいです。焙煎度によって同じ産地でも味に差が出るし、めちゃくちゃ色んな表し方があります。ブレンドの内容を公表されていない場合も多いです。そもそも産地を舌で見極めることはプロでもかなり難しいし、ブレンドになったら言わずもがなとなります。


で、現時点の私の最適解案(上記以外に必要な情報)は何かというと、ペーパードリップ内ならば、焙煎抽出という一種の調理工程にオリジナリティは比較的出やすいこと、そして巷に多種多様な例が事実として多いことを踏まえると、分類はしうると思います(他の抽出法内だとかなり難しい)。そしてその工程を踏まえると「抽出由来の湯温(熱・並・温)」「抽出由来の濃度(濃・並・薄)」「焙煎由来の酸味↔︎苦甘さのバランス(15。真ん中が3)」の最低限3点の情報で、自分の珈琲店巡り趣味のため程度なら店別に味の大別ができるのでは、(最低限それだけの情報があれば50%程度の味の想像はできる)と考えています。ただ、これも客観性と必要充分性が担保されているかと言えばそうではありません。基準の珈琲(自分の中でいつでも思い出せる味。私の場合は「喫茶どんぐり」のブレンド)をひとつ自分の中で設ける必要があるのですが、その味を読み手聞き手も充分知っておく必要があること、味の感じ方・舌の感じ方は人それぞれかつ自分の中ですら体調環境等に多分に影響を受けるので多少のブレは生じてしまうこと、情報の大きな要となる酸味と甘苦さの「質」の情報(産地由来。まぁ焙煎由来もあるけどあとまぁ酸味においてはケニア・タンザニアあたりは柑橘系、エチオピアはベリー系、中南米はチェリー・林檎・柑橘割と諸々系みたいなざっくり大別みたいなんはあるけど、例外も割とある)についてはまた別に整理して表す必要があること、焙煎度(浅煎り・中煎り・中深煎り・深煎り)の情報は入れておきたいが、店で書いている表記ではなく(店によって定義がバラバラなことがある)、図鑑等を参照した自分の物差しを使って表す(かつ各煎りの区分けの定義は公表する)必要があること、は留意しないといけません。


まぁ大前提をひっくり返すようですが、そもそも珈琲店巡りなんて自分自身が楽しければいいんだから、自分自身のための珈琲の味の分析そのものに厳密な客観性なんぞなくていいし、人のこと全然気にする必要ないんですけどね。分析をわざわざ人に伝えるなら、という話です。あと聞き手読み手も人の感想なんて信用半分疑い半分で捉えるくらいがちょうど良いし、そもそも自分で確かめれば良いし、という感じです。


私の場合は(焙煎も抽出も自分でやるからその参考+自分の将来のために)極論自分のためだけに分析していますが、その割になんとなく自分の糧になるだろう的な理由でわざわざそれを文字で人に一応伝えんとする苦行をしています。ただ実際は文字では書かないだけで自分の頭の中でしか分からないもっともっと主観的で複雑な分析をしています。上記の考察はだいぶ自分の実際をかなり粗くそぎ落としているから、全く自信も根拠もありません。人に聞かれたから考えてみた試論です。いらんこといっぱい書いてしまいました。

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馬鹿だから自分へのクリスマスプレゼントに買いました。MAZZER mini エスプレッソグラインダー。WEEKENDERS COFFEEの金子さんに憧れる身としてはこれを買わなくてはという感じだったのです。これで愛機LA MARZOCCO Linea Miniとも相まって、家庭用でたまにエスプレッソ飲む(弊ブログを継続的にご覧の方はご承知の通り、私が自分でやる専門は手回し焙煎機による深煎り自家焙煎ネルドリップです)というには限界値的に最高レベルに機材を揃えたので、これで家で淹れたエスプレッソやラテが美味しくなかったら機材のせいにせずに自分の技術不足のせいにします。


さて、最近弊ブログのアクセスがありがたいことに少し増えてきつつありますので、改めまして
『京都珈琲案内』は一応の読解法について今回記しておきます。


『京都珈琲案内』にて記した文は、私の基本的な考えである「珈琲の味を大きく違わしめるのは『①抽出法>>超えられない壁>>②焙煎度>③産地」に基づき、このベスト3は原則書くようにしているので、そこを参考にしていただければと思います。これらの情報はいわゆる客観的に誰もが共通して理解できるもので、かつ珈琲の大まかな味を推測するに必ず要るものです(ただし、焙煎度について、「煎り」という書き方は人や店によってブレがあります。この表記における私の物差しについては下記をご参考ください)。他の雑誌やweb投稿ではその情報が全て揃っていることはあまり無いので、その点においては弊ブログ及び投稿は多少の参考になろうとは思います。ちなみに自家焙煎珈琲店の場合は分かれば焙煎機の機種を、エスプレッソの場合は分かればマシンの機種も書いています。なお、ペーパードリッパーの種類については経験上、記すべきほどの差は生まれない(ていうかドリッピングでいかようにも変わる)と判断して書いていません。


あとは味覚的感想と気になれば濃度感と温度感等も書きますが、それはあくまで私個人の主観と好みに基づいた文面なので、実際は自分で店で行って、自分で確認と判断をしていただければと思います(ちなみに私の味覚的表記のあり方についても弊ブログに記載しています)。


私自身は自分の技術的にも「深煎りネルドリップ」という立ち位置の人間なので、深煎りやネルドリップの味を「好み」だと感じます。しかしそれはあくまで好みであり、美味しさのひとつであって、「絶対的な美味しさ」ではありません。分かりやすい例は焙煎度です。浅煎りが好きで深煎りが苦手という人もいるでしょう。そういう人を私は珈琲の味のわからない人だとは思いませんし、逆に向こうが私のことをそう思われても困ります。私自身深煎り党ではありますが浅煎りも多分普通の人の何百倍は飲んでいるのとその他諸々の経験則によって浅煎りの「美味しさ」は一応理解はしているつもりで、その部分を極力書くように努めてはいますが、浅煎り党の人には物足りない感想であろうかと思います。それは、上記3つの情報をもとに自分で大まかな味を推測の上、お店に行っていただければと思います。


弊ブログ及び投稿では、焙煎度に限らず他の点においても、あくまで私自身の立ち位置をベースとして、各お店の「美味しい=●●な感じが好みの人ならきっと好きだと思うであろう」と思うところを記すようにしています。ただ、値段や雰囲気等を含め、どんな珈琲を自分が好きと思うかは本当に人それぞれであり、それはその人それぞれの正解があるので、そのようにお楽しみいただければと思います。


ちなみにですが『京都珈琲案内』は私個人のみで書いているものであり、私が直接記すブログ、Portla連載(過去分)及びInstagram投稿以外で「京都珈琲案内」とハッシュタグやネーミングがあっても特に私と関係はない(というか別に一般的な言葉の羅列なので偶然被ることは普通にありうる)ですので、併せてご承知おきください。





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昔ウェブ雑誌で書いてた連載はこちら。PORTRA『京都珈琲案内』(2016年〜2018年 全10回。リンクは第8回『第8回:確実な「美味しいペーパードリップの淹れ方」、教えます。―「間違い」だらけの珈琲の淹れ方―』)

(1)弊ブログでは、珈琲豆の焙煎度について、『珈琲のすべて』(エイ出版社、2010年)を参考に「ライトロースト〜シナモンロースト=浅煎り、ミディアムロースト〜ハイロースト=中煎り、シティロースト〜フルシティロースト=中深煎り、フレンチロースト〜イタリアンロースト=深煎り」としています。

(2)弊ブログは、筆者の、珈琲の味は「抽出法>>>超えられない壁>>>焙煎度>産地>・・・」の順で大きく変化する、という考えに基づいた記録です。また、味覚表記に関する筆者の考え方については、http://ueshima.blog.jp/archives/1079544175.htmlをご確認ください。

今回の雑記のテーマは「各珈琲店の珈琲の味を簡易に比較分類する方法」です。

 

1.はじめに

珈琲店・カフェ巡りをするにあたって、ただ闇雲に巡るよりは、お店での珈琲の味を比較分類整理して蓄積していくほうが、自分の味の好み等もよりはっきりと見えてくるのでよろしいことかと思います。そして、そのために何らか分類表のようなものがあれば大きな一助になるでしょうし、一般的にはマトリクス(x軸とy軸)的な表が多かろうと思います。

 

ただ、こう切り出しておいていきなりぶった斬るようでなんなのですが、珈琲の味をマトリクスを用いて厳密に分類することは絶対に不可能です。マトリクスはx軸y軸それぞれの条件下において、それぞれ1つの要素の程度比較しかできませんが、珈琲の味が変わる要素というものはあまりにも多くありすぎるからです。そのため私自身、絶対に不可能なこのテーマについて考えたことすらありませんでした。

 

しかし、最近このことについて考える機会があり、その際に、まぁ珈琲店・カフェ巡りをする中での楽しい頭の整理程度に使える簡易な分類表があってもよいのではないだろうか、と思うようにもなりました。誰もが納得するようなものはできないでしょうし、自分自身全てが納得するものはできないと思いますが、珈琲店における珈琲の味の分類表において、簡易な整理レベルの限界へ、ここに挑戦してみたいと思います。

 

2.マトリクスとは

まず、初めにマトリクスそのものについてですが、前述の通りxy軸それぞれに条件を1つずつ挙げることができ、そしてx軸y軸それぞれの中で1つの要素の程度比較をすることができます。それ以外の条件および要素は「統一する」か「気にしない」とするしかありません。つまり、このxy軸それぞれ条件と要素において何を挙げることが適切か、ということをまずは考えないといけません。

このことを考える前提に、1つやっておきたいことがあります。

過去に私がこのブログでも述べましたが、珈琲の味の変化において、大きく受ける要素の順があります。以下の通りと私は考えています。

 

抽出法>>>超えられない壁>>>焙煎度>産地>・・・

 
これは、「珈琲」と一口に言っても「麺類」と言っているみたいなもの。「抽出法」は「ラーメンかうどんかパスタか」、「焙煎度」は「(ラーメンなら) 醤油味か塩味か味噌味か」、産地は「(ラーメンなら)細麺か太麺か縮れ麺か」くらいは違う、とよく私が喩えています。よって雑誌メディア等においては、珈琲店の珈琲を取り上げた時に、これらの情報がない記事は論外と言えるし、焙煎度の呼称も店によって定めている基準がバラバラだったりするので、記事中に用いる「浅煎り」「中煎り」「中深煎り」「深煎り」それぞれの色見本を紙面等に載せておくべし、ということを私は繰り返し主張しています。そしてそれらのことをきちんとやっている媒体はほぼ見かけたことはありません。
 

やはり抽出法は、珈琲の味が変化する最大要素です。さすがにペーパードリップとエスプレッソを同じテーブルに挙げて味を比較するには無理があります。よって、抽出法はマトリクスにおける「統一の要素」に挙げなければなりません。ペーパードリップ用、エスプレッソ用、ネルドリップ用・・・とそれぞれに分類表をこしらえましょう。あとの要素については、焙煎度・産地のほかにも、焙煎法とか湯温とか濃度とか色々あるのですが、これ以上統一の要素を増やすと表が複雑怪奇になるので、統一の要素はいったん抽出法だけで目を瞑ることにします。

3.x軸y軸それぞれの条件とその比較要素
x軸y軸それぞれに挙げるべき条件についてですが、そのヒントとなるのは「珈琲という液体がどのような過程を経て出来上がるか」ということです。珈琲は豆を「焙煎し」「抽出する」という大きい2つの過程を経て、液体が出来上がります。よって、「焙煎過程」という条件をx軸、「抽出過程」という条件をy軸に置くことが効果的であると考えました。

続いて考えるべきは、焙煎過程(条件)、抽出過程(条件)それぞれの中で、どの要素で比べるかです。またその要素の程度を比較する際、「飲んで判断しやすく」「比較しやすい」「対極の」概念を踏まえるべきかと思います。

 

検討の結果、以下の通り私は定義してみました。

 

x軸=焙煎における比較要素・・・甘酸のバランス 酸味 ⇔ 甘味

y軸=抽出における比較要素・・・濃度      薄い ⇔ 濃い 

 

まずはx軸です。焙煎において念頭に入れておくべきなのは、「生豆は最初えぐみが強く、加熱すると酸味が出て、そのあとは焙煎度が進むにつれ、だんだん酸味から甘味へと変化していく(そして苦味も伴っていく)」ということです。実はこれ、半分くらいは科学的な根拠はありません。珈琲豆の成分について、直接的な酸の成分は焙煎の過程で生まれるのですが、直接的な糖(ショ糖など)の成分は少ないままです。ですので、焙煎を深めるにつれ珈琲豆の酸味が甘味にシフトしていくという理由は不明です。しかし、確かに、焙煎を深めるにつれ、時にはカラメルのような時にはビターチョコレートのような奥深い甘味が感じられるようになります。これは旦部幸博著『コーヒーの科学』(講談社)などにも記されている通りです。ただ、「加熱すると酸味から甘味にシフトする」というのは林檎とかの果実でも同様なので、イメージに難くはないでしょう。よって、焙煎における珈琲の味は「酸味と甘味のバランス」で見るべきだと思います。もし珈琲の甘い醍醐味を知りたければ、ペーパードリップなら四条河原町「Elephant Factory Coffee」の深煎ブレンド、ネルドリップなら四条河原町「王田珈琲専門店」のブレンドなどで味わっていただければと思います。

 

酸味や甘味の「質」は気にしないこととします。たとえばケニア中煎りの柑橘系な酸味もエチオピア浅煎りのベリーな酸味も同じ「酸味」として見ます。そこを細分化するとこれまた分類表が幾重に増えて複雑怪奇になるので、その点は今回は割愛します。

 

ちなみにですが、珈琲の甘味についての細かな補足ですが、珈琲豆の成分を分析したところ、前述の焙煎による甘味とはまた別の甘い香り成分(フラノン類)が中煎りあたりで一番ピークを迎えるというデータがあり、おそらくこれが原因なのか、中煎りくらいでも甘味(焙煎の甘味とはまたちょっと違う、果実感のある甘味)を多めに感じる場合もあります。

 

そもそもの話ですが、珈琲の酸味と甘味の「質」については、珈琲店・カフェ巡りを楽しむ程度であれば、そんなに気にしなくて良いです。スペシャルティコーヒーの味の分類に使われる表、いわゆるフレーバーホイール等と呼ばれるものが近年身近に導入され、よく珈琲店やカフェでも珈琲の味の紹介でそれを用いた説明書きがされていることもしばしばあります。しかし、フレーバーホイール等はかなり複雑で難しく、相当な上級者でないときちんと理解はできません。こんな言い方をして申し訳ないのですが、長年珈琲の味を細かに気にしながら注意深く飲んでいる私でさえよく分からないので、プロではない人だとほとんど理解は無理だと思っています。どんな理由であれ、「酸っぱい」「甘い」でいいんです。

 

ここで私が取り上げたい重要なポイントとしては、「『苦味』は味の比較テーブルに挙げるべきではない」ということです。焙煎による酸味と甘味のバランスの変化の仕方は豆の種類や焙煎法などによって異なります。しかし、苦味はいわゆる「炭」なので、当たり前ですが豆の黒さ(焙煎度)が同じであれば、どんな種類の豆であれ、どんな焙煎法であれ、おおむね等しく苦味は豆に付着します(焼き方が明らかに不十分とか明らかに均等ではないとかそういうのは例外とします)。よって、苦味の程度を比較テーブルに挙げても、原則同じ焙煎度のライン上で集まり固まるので、表としてはあまり意味がありません。まぁ、深煎りは基本的に甘くなる傾向にはなるので、甘味のポイントが高いところに焙煎度が深い珈琲が置かれる傾向にはなろうとは思います。ですが、甘味を苦味に置き換えることはできません。

ちなみに、深煎豆を90℃近い高めのお湯で抽出するなど、抽出による影響で珈琲に苦味が目立つことも確かにあります。ただ、それは苦味以外のところで味を評価すべきだと私は考えています。大昔にANTENNA(現 PORTLA)時代のコラム(https://portla-mag.com/post-1306/)にも書きましたが、「珈琲において苦味はあくまで甘味の副産物であり、苦味は旨味ではない」というのが、私の基本的な考え方です。この私の考え方とは異なり「珈琲は苦味が好きだ」という方も一定数いらっしゃることは重々承知しておりますし、「苦味を楽しむ珈琲」も実際存在することも重々承知しておりますが、この基本的な考えを譲ることはできません。そういった意味でも、マトリクスにて甘味を苦味に置き換えることは難しいと考えています。

 

y軸についてはさらっといきます。抽出においては、濃度で比較するのが一番分かりやすいでしょう。本当は前述の通り湯温なども大きな影響はあるのですが、断腸の思いで泣く泣く割愛します。

 

4.分類表マトリクスと味わいの分布

以上の考察をもって、できたマトリクスは以下の通りです。

 

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この象限の極端な部分では人間はどのように感じるかというと、「甘味があって濃く感じる=コクがある」「甘味があって薄く感じる=まろやか」「酸味があって濃く感じる=キレがある」「酸味があって薄く感じる=さっぱり・すっきりする」という表現の印象になろうかと思います。これらの表現もみんな曖昧に使いがちなので、きちんと定義付けはしておいたほうがよろしいでしょう。なお、この考え方はここ(https://diamond.jp/articles/-/222315)を参考にしています。

 

5.「0」基準の味

これでいったん表はできました。しかし、ここでまだやることがあります。すなわち、「0」基準となる味を定め、予め知っておかないといかない、ということです。そうでないと、初めて表に点を付ける際、どこに点を付けるべきか比較判断がつかなくなってしまいます。

 

「0」基準の味ですが、これは正直なところ、自分が一番お気に入りの、一番よく覚えている、もしくは一番思い出せる珈琲の味を基準にしてよいです。ただ、それだとマトリクスの形状が偏る可能性もあるので、できれば、濃度、酸味、甘味全てにおいてちょうどバランスがよい(0均衡がとれている)珈琲を0に置く方が望ましいでしょう。

 

最も一般的である「ペーパードリップ」のマトリクスにて、私が「0」基準の味として京都で一番お勧めしたいのは、烏丸丸太町「喫茶どんぐり」のブレンドコーヒーです。老若男女がいつどんなときに飲んでも美味しいと思える中庸な味わいは、筆舌に尽くしがたいものがあります。私自身、珈琲の味の分類に迷いが生じたら、必ずどんぐりの珈琲をいただきに行きます。

 

6.分類表のマトリクスの使い方

「0」基準も定まった後は、珈琲を飲むたび、自分の肌感覚と主観をバリバリに点をつけていけばよいです。上記の表では5段階評価ですが、10段階評価でもいいですし、0.1刻みでもいいですし、その根拠など必要ありません。所詮は自分のためだけにやる楽しみなので、自分のものさしで臆せず決めれば良いし、1つ経験が積まれていくたびに全体が補正されていくことにもなろうかと思います。

 

なお、私の中での珈琲の味の分類については、具体的に何かデータ化したり表化したりはしていません。頭の中で整理しているだけですが、イメージとしては、統一要素で抽出法に加えて焙煎法、焙煎度、産地、湯温、その他にも色々な要素をつけたり外したりして、かつx軸とy軸の条件も色々変えて比較しているようなイメージです。

 

7.さいごに

これは2021年10月現在の暫定的な結論です。繰り返しますが、無理難題を批判覚悟で挑戦してみただけです。考え方はまた変わるかもしれません。ただ、もしこのブログに少しでも興味を持っていただき、こんな表を使ってメモしながらカフェ巡りして自分の味の好みが分かってきて、参考になるし楽しいかもなぁと思っていただければそれで充分です。ただ、今回の試みは完全な正解だとは全くもって思っていませんので、そこはあんじょう自分の好きなように変えていただければと思います。

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Coffee beans are not for throwing about.

【超訳】

「珈琲のドリップスタンドって何かメリットがあるのですか」とよく聞かれるのですが、結論から言うと特にないです。強いて言うならドリップの最後にドリッパーを「しゅっ」と外せるくらい。まぁかっこいいからええやん。

あと、「ペーパードリップで美味しい珈琲を淹れるにはどうしたらいいですか」という質問も本当によく聞かれるのですが、僕はペーパーにかんしてはそこまで奇をてらった技術は使ってません。ペーパーは要点さえしっかり押さえてしまえば基本的には何処でも誰でも美味しく淹れられます。じゃあその要点とはなんなのよ、という話なのですが、それは直接見てもらわないといけないこともあるので、是非我が家まで来ていただければと思います。ちなみに雑誌や本に書いている「美味しい珈琲の淹れ方」というのは、半分くらいは嘘が書かれがちです。素人がペーパーでのの字に淹れたら大抵失敗するよ。

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Coffee Bimi in Fukuoka

This café is famous for its flannel dripped coffee and high-quality- Mocha beans and is one of my regular coffee beans shops. Because of a strong image of Mocha, I have never bought any beans except Mocha.
However, This the Philippines, which I tried for the first time, was a formidable opponent, or rather an amazing one.


【超訳】
懇意にさせていただいている狹間先生から、福岡出張のお土産として、珈琲美美で珈琲豆をいただきました。ありがとうございます。
お店と同様ネルドリップに。まじうまい。
美美は福岡に行った際には必ず行くべき珈琲屋さんだと思います。福岡行きたい。友達と会って屋台で飲んだくれたい。
それでは、今から3年~4年ほど前に美美で初めて珈琲を飲んで放心している私の姿をお楽しみください。

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Whenever I drip 70cc coffee with flannel at home, I make it a rule to serve it into this coffee cup, which is the one my master, the owner of SANSAKA uses at the café. This is from Mino pottery with Tobi-Kamna; they plane a lump of clay with a bent kamna turning a rokuro, to make a distinctive pattern on the surface of the cup. This is a rare technique of the art of pottery.  So cute.
 
【超訳】
「深焼き豆は苦味こそがおいしい」という人がよくいるのですが、それは実は結構な勘違いだと思っています。屁理屈を言うようですが、苦さはあくまで苦さであって、それは直接旨味ではないからです。ただ、深く焙煎すると独特の甘味が出るので、そこを楽しむために深く焼きます。

抽出もなるだけ苦味が出ないような(でも甘味を引き立たせてコクを出す程度に苦味を残す)やり方をします。それがネルドリップであったり、少し低温で抽出してみたり・・・という工夫だったりします。私の豆はおそらく熱々のお湯でしゃばーっと淹れるとおそらく私でも苦くて飲みにくいです。私は、珈琲の持つ甘味を存分に楽しんでもらうために濃く淹れますが、私の珈琲を飲む人には、「濃いけど苦くない」という感想を持ってもらったらベストだと思っています。
 
ただ、知る方は知る通り、私は中焼き~中深焼きのエスプレッソ党でもあるし、例えば俗にいうサードウェーブ系の浅焼き豆のペーパードリップとかも嫌いではないです。それはそれの楽しみ、これはこれの楽しみ、ということです。で、私はたまたましかるべきネルドリップとエスプレッソが非常に好みだったというだけの話なのです。
 
珈琲は「抽出法と豆の焙煎具合」で本当に「全く別物」になります。なので、自分好みの珈琲の味を探すには、まずは抽出法と豆の焙煎具合をどうするかを考えてみて試してみて、そのあとに豆の種類を考えてみる、とするとよいのかもしれません。

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私にはネルドリップについてのお師匠さんがおり、その味に強く憧れて、日々珈琲の抽出に向き合っております。教えていただいて3年目にしてようやく味が安定してきましたが、まだまだうまくいかないところもあります。

 
このブログを見てくださっている方で、俗にいう「おうちカフェ」に興味を持っておられる方は少なからずいらっしゃるかなと思っています。雑誌などで取り上げられている世の「おうちカフェブーム」では、お洒落な雑貨や家具に囲まれ、それなりに「ちゃんとした」珈琲器具を使うことでカフェ的な雰囲気を楽しむ、というところに重きを置いているような気がします。確かにそういう面も大事だったりするのですが、それは言うなれば、お金を出してしまえば手に入ってハイ終了というものなので、そこだけで終始してしまうのは少し味気ないし勿体ないと思います。雑貨や家具のほうだってもう少し「活き甲斐」をもちたいはずです。
 

そもそも飲み物を軸として楽しむ場なのですから、そこを追求してみてはどうでしょう。自分の一番大好きな珈琲の味は何かを考えてみる。豆の種類・挽き方、湯の温度、抽出速度をあれこれ試して自分好みの味を探す。べつに珈琲じゃなくても、たとえばレモネードとかサングリアとか、そういった類のドリンクをイチから自作してみるのもよいですね。
 
勿論プロではないのですから、初めは全然分からないし、うまくいきません。でも、そんなときに美味しい喫茶店をいろいろ訪ねてみたり、ともすれば店主の方に話を伺ってみたりすると、カフェの楽しみ方もこれまでとまた随分と変わってきます。私自身、さんさか(烏丸御池)木村さんのネルドリップ及びWEEKENDERS(元田中)金子さんのエスプレッソとラテアートに出遇ったときの感動がなければ、ここまで珈琲の抽出に取り組まなかったと思うし、何も知らないド素人の私にも関わらず、知識や技術を惜しみもなく教えてくださったお二人には御縁あって本当に感謝しています。そして勿論これからも勉強させてもらいます。

 
全然うまくいかない未完成な部分の試行錯誤、一見徒労や無駄に見えるその過程の「遊び」と「創意工夫」にこそ、むしろ本当のおうちカフェの魅力があるのではないかと、私は思っています。

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I forgot at all the proverb in coffee, ‘Moderate drinking keeps the doctor away.’
 
【超訳】
Beyond Coffee RoastersでウガンダAAAロブスタという超珍し豆をゲット。
ロブスタだけどエスプレッソにしたらこってりとアーモンドのような甘味。
単体で試したりアイスラテにしたりカプチーノにしたりしていたら完全に腹が死んだ。
合掌。
あと、北山杉のコースターが割れたのがかなしい。 

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